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2015年12月23日

キノの旅 9 再読

キノの旅〈9〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈9〉the Beautiful World (電撃文庫)
時雨沢 恵一 黒星 紅白

メディアワークス 2005-10
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空には、暖かい午後の太陽が浮かんでいました。
なだらかで大きな丘を登った時、丘の向こうが見えた時、キノは驚きの声を出しました。
「あれ?なんでだろう」急ブレーキをかけられて止まったエルメスも、「おや」やっぱり驚きました。
そこには国がありました。広い草原に、城壁が見えました。白い城壁が、大きな円を描いていました。
―キノとエルメスが辿り着いたのは、城壁が続く大きな国。
そこに国があるとは聞いていなかったので驚きつつ、入国するための門を探して走り続ける。
しかし…(『城壁の話』)他、全15話収録。


旅人には縁のない国

□なってないひとたち
以前読んだときはこの話は「城壁の話」のように
ただあるだけの話だと思っていたのですが
今読むと暗喩なのかなぁと。
「あなたは小説家なのですか?どんな小説を書きましたか?」
「あなたは読書家なのですか?どんな小説を読みましたか?」
「そんなものは小説じゃないですよ」
「そんなものは読書ではないですよ」
「おこがましい」
「まったくなっていない」
「え?私が書いた小説ですか?」
「え?この小説を読んだのかって?」
「まだ書いていません」
「まだ読んでいません」
「これから書くんですよ」
「これから読むんですよ」
実際旅をしたことがない人が他人の旅を批判することは少ないと思いますが
小説を書くこと、読むことに対して
何も行動していないのにそれはそうじゃない
そんなものはホンモノじゃないと、批判的に語る人は多いような気がします。
そんな邪推は関係なくユーモアのある話で好きです。

□城壁の話
キノは比較的模範的な旅人ですので
大概の国に出入りできますが
中にはこういう国もあるのでしょう。
誰とも縁がない国。
世界は広くそういう国もたまにはある。

□悲しみの中でab
ここまで極端な出来事は中々ありませんが
誰かが死んだら悲しまなければいけない、
悲しい出来事があったら悲しまなければならない
という圧力は日常でもありますよね。
なんかこう…ツイッターでこういうパターン見た。
「悲しむのを止めてやれることをやろう」
と言える彼が死んでしまったことは本当に悲しいことだと思います。
「化物語」の斧乃木ちゃんが言っていたことを思い出します。
「人間は幸福になる義務がある。
僕は不幸だからもう許してくれ、だなんて思っていないかい?」
とかなんとか。
幸福にならないことはとても楽かもしれないけれど
別に許されている訳じゃない。
許されない、を永遠に続けている、ことなんじゃないだろうか。

□記録の国
ひとに気持ちやひとの状態は記録や外見で推測することは
ある程度できるけれども100%補足できるわけではない。
優しい人は平気なフリをするし、
賢い人はわめき叫ぶリソースを惜しむ。
絶望している人はわめき叫ぶことすらできない。
ちょっと話してみなよ。
多分それで残りの数%が埋まるから。
あんなふうに無気力に生きる人が正常なわけがないんだよなぁ

□いい人達の夕べ
酒を飲まなければいい人ってそりゃ悪い人だよなぁ。
悪い人になるって分かってるのに飲むんだから悪い人だよ。
パースエイダーを握らなければいい人ってそりゃ普通だよ。
パースエイダーを握ればみんな命を奪う悪魔だ。

□作家の旅
通信が発達し調べ物が容易になったこのご時勢では
むしろそんなカラクリをどうにかぶっこわせないかと躍起になっている感があります。
メディアワークス界隈でも色々ありましたし。
作家の彼女のような精神の人間は出版社に近づかないでくれー
というのが出版社の本心なのではないでしょうか。
彼女らは心が違うので
そんな読者や出版社の気持ちなど気にも留めないので困り者です。
あー消滅してくれ。

□電波の国
真実を見ないことで安寧を得ることはできますが
真実を見なければ電波をとめることはできない。
キチガイは電波のせいってことにしたほうが楽だもんね。
しかしこれってキチガイとか病気は遺伝のせいだ!
という主張とどこが違うんだろう。
電波の国は国民の学力が低いため電波という眼に見えない科学と
説明のつかない現象を結び付けてしまったわけだけど
案外現実の世界にもそういうところはあるかもしれない。
管理人らが住んでいる日本にもそういうところはあるかもしれない。
遺伝子の存在は知っているけれど遺伝子は見たことないし
見たところで多分どこがどうで何が原因とかはわからない。
ぶっちゃけ偉い人とか有識者がよってたかって嘘を公表していたらそれまでだし
嘘のつもりはなくとも科学だと医学だのはまだまだ生まれたて育ち盛りなところが
あるので正しい推論のつもりであっても
余裕で間違えていると言うことは沢山あると思います。
外から、或いは中から実は今までのことは間違ってました!
と言うことになっても落ち着いて対処していきたい。
多分パニックになると思うけど。
この話を思い出す余裕なんてないと思うけど。
でもたぶん「地動説」と「天動説」のことは思い出せそうなのでそいつで
落ち着いていきたい。
天が動くなんてことはよくあること。
人類にとって必要な瞬間に本当のことが分かるもんだと思いたい。

□日記の国
きっとこの悪しき習慣は絶たれたのだ。
この子は一人の人間として幸せに過ごしたはずだ。

□自然保護の国
この話は凄く嫌いです。
話は好きなんですけど自然保護の国の人たちがね。
自分や自分が住んでる国の姿を思い出してしまいます。
自己嫌悪がねー。
自然ってなんだろ。
保護ってなんなんだろう。
自然は待ってくれないからいきなり駆け足の対策が始まってしまうことも多いけれど
そういうのは自然保護とは言わないことは覚えておきたい。

□商人の国
したたかだなあ。
もう二度と会うことのない旅人だから情報を貰った上に
足りない値段でブローチを引き取ったのか…それとも
誰に対してもそんなもんなんだろうか。

□殺す国
弟子が面白い話。
弟子は極悪人だけど普通の感性を持っているんだなぁということが
しみじみ分かる話。
最期のオチで弟子の顔凍りついてそう。
師匠は平然としてるんだろうなー。
自殺の話でありながら
人は産まれるべきところに産まれて来るんだろうなーという気持ちになりました。

□続・戦車の話
再読なのにオチを忘れてしまっていてヒヤヒヤしました。
怖かった…
これ子供達が打たれるフラグですよね…
何で撃てなかったのかは分かりませんが
戦車長殿が土に返れたのは良かった。
あてのない旅が終わったのは良かった。
必要な瞬間に本当のことが分かるもんだと思いたい。

□むかしの話
けっこんしたんかワレ!
なんとなくシズとティーが結婚するビジョンが見えない。
ティーがシズと旅をするためにやったことが気に食わないままなのかもしれない。
ティーは何かやるべきことがあるような気がする。

□説得力U
金髪で背の低いお弟子さんは師匠から「学ぶ」ことはできなかったと思います。
彼は彼女の弟子ですがあくまで相棒とか…奴隷は言い過ぎでも
使用人みたいな扱いだったので彼女から色々学ぶことはあっても
彼女が学ばせよう、教えようと思って何かをしてくれると言うことはなかったと思うんですよね。
例えそれがコテンパンにすることであっても。
キノと師匠の関係を弟子が見たら
「ずるい」って言うかもしれません。
「自力で学んだ俺のほうが凄い」というのかもしれません。

楽しかったです。
でもやっぱり人間って生きてるのが一番面白いよなぁと思えた一冊でした。
ずるするのも一興。
でも絶対ばれるので、
するしないと死ぬような状況にはいないので
やっぱり普通にずるせず生きていきます。
そんな感じでキノの旅、9巻読了。

posted by 安藤 at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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