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2009年03月28日

曲矢さんのエア彼氏 1

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「さよなら」バッグもバッグの中身も、俺にはもう無用の物。ヒザを壊し、バスケをあきらめた俺が放り投げたバッグは――びしょ濡れの制服女に激突。「わ、私をををを追って二騎ののの騎馬兵ががが……」俺は曲矢と出会ってしまった。普通の人間には見えない、空想がつくりだした“エア彼氏”をもつ電波女に……ってなんでエア彼氏が見えてんだ俺?つーかあの可愛いコ、エアなの? エアすごくね? こうして曲矢を師匠に、俺のエア彼女づくり修行がはじまった。俺の彼女はバスケットボールに顔を描いた“バスケ子先輩”だっ!……あれ?

   
絵師つながりでネルリ万歳のレイチを髣髴とさせる。

今回の九郎先生はまるでラノベみたいだったぜ。
いや、ラノベなんですけど。
地の文より会話のほうが多くキャラクターもよりラノベ的でした。
以前よりずっと読みやすく
読書中におぼえる違和感や引っ掛かりも少なく
初心者には大変優しい作りとなっております。
物語上に存在する矛盾も今回は見付けられなかったので
九郎先生《物語》を作るのがうまくなったなぁと思いました。
九郎先生の魅力は詩的な文章群と
現実と虚実の境界が不明の電波ストーリーにあると思うのですが
読みやすくなってもその大事なところは損なわれず
キャラクターは元気に動き回ってくれました。

他のノベルと並べて比較するのなら
アウラより激しく
蟲と眼球より優しく
ワーズ・ワースよりコミカルといったところでしょうか。
九郎先生の作品は特にラストが残酷で
エア彼氏も例に漏れず虚しい痛みのある物語でしたが
他の九郎作品に比べたらまだましで
管理人はたいへん楽しめました。
ご馳走様でした。

×××、相変わらずの九郎先生ワード。
ごめんでも許してでもなかったとき何なのかはすぐにわかりましたし
エアオーデションの時に杏子が何者なのか分かりましたが
深い。
そこが虚しい痛みの素。
聞こえない言葉は聞きたい言葉。
でも聴いてはいけない言葉。エアには言わせてはいけない言葉。
何故なら杏子はまだ生きている。
妄想に言わせるのはまだ早すぎる。
おそらく×××がカントだった時もそんな感じだと思う。
親しくてカントと呼ぶのは杏子だけだったから。
カントはいつでも杏子の言葉がほしかった。そんな必死さが
虚しくて悲しくてまさにイタい青春だけれども
そんなところも×××だぜ。

今回で九郎先生が丸くなったのではないかと恐れている読者の方も
いるかもしれませんが
それはおそらく杞憂かと。
妄想、というラノベでありがちなアイテムを
ここまで深く激しく九郎色に染め上げた技量は賞賛すべきものであり
更なる物語を期待できると思います。
っていうか管理人は期待しています。

さて次は何を書いてくれることやら。

posted by 安藤 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(1) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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034:曲矢さんのエア彼氏(1)
Excerpt: 曲矢さんのエア彼氏 (ガガガ文庫)著者:中村 九郎小学館(2009-03-19)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る 何も言うまい。 大好きだ。
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Tracked: 2010-11-21 11:09
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